2021.05.24
登窯、土と火の織りなす小石原焼 陶磁器 小石原 地域資源 福岡 持続可能性 ロングライフデザイン
標高1000m級の山々に囲まれた福岡県東峰村。小石原焼は、陶器に適した土と登り窯の燃料となる木々に恵まれており、長きにわたり焼き物が作られてきました。
天空の窯郷 こいしわら、「1682年に筑前福岡藩・3代目藩主が、磁器の生産が盛んだった伊万里にならい、焼物を作り始めたのが起源とされます。開窯当初、磁器が作られていた時期もありましたが、1669年から同地で茶陶を手がけていた高取焼との交流により発展し、陶器が作られるようになりました。小石原焼の大きな特徴は、器をろくろで回しながら刃先やハケなどを使い規則的に入れる模様です。「飛び鉋」や「刷毛目」と呼ばれる技法により、整然としながらも温かみのある柄が生まれます。
小石原地区は農業も盛んで、水田が段々に連なった棚田、茅葺き屋根の家屋など、のどかな日本の原風景が広がっています。そんな小石原地区は陶器に適した土と登り窯の燃料となる木々に恵まれていたため、約350年にわたり、焼き物が作られ続けてきました。現在50軒以上の窯元が集積し、どの窯元もギャラリーを併設しています。
現在、焼物の多くは電気窯やガス窯で焼かれています。微調整が容易で安定して焼け、かつ設置・維持コストが安いことなどが理由です。また近年、均一な器を好む傾向も影響しています。小石原でも同様に登り窯は減ってしまい、ガス窯が大半となっています。一方、大切な原料である土は、昔と変わらず近隣の山から採取されています。
そんな中、小石原焼の一部の窯元で、現在も使われている登り窯。薪で焼くことで、炎の力や土の味がより強く、器に独特な表情が生まれます。それは数千年の歴史を経て改良を重ねられた陶工達の英知の結晶でもあります。
今回届いた器は、辰巳窯・マルダイ窯・マルワ窯のうつわ。
伝統を継承し、一つ一つの個性を大切に、唯一無二の「登り窯」のうつわを感じてください。